2006年08月27日

さすらい地蔵 「首のない女地蔵」

PA200267.JPG


  「白幡神社」の境内にひっそりと置かれいる「お地蔵さま」。横に寝せられたこの「お地蔵さま」には「首」がありません。
  遠野で「さすらい地蔵」と呼ばれているこの「女地蔵」は、その名通り、さすらうことからこの名で呼ばれることになったそうです。



0 さすらい地蔵.jpg  「遠野駅」から車ですぐ、1・2分のところ、遠野の街並みの一角にあります。PA200270.JPGすぐ横には消防署があり、小さなこの「白幡神社」には、普段は立ち止まる人も、目をやる人もいません。


  「女地蔵」だというこのお地蔵さまは昔、若い男たちの力自慢に使われ、かつがれては町のいろんな所に投げ捨てられていたのだそうです。
  このお地蔵様をどれだけかついで運べるのかで、若者たちが力を競ったんだと思います。 繁華街にすてられたり、また小道に、時には草むらに。





  お地蔵さまを見かけなくなっても、数日すると不思議ともとの場所にちゃんと戻っていて、そしてまた居なくなる、そんな事を繰り返し、「さすらい」と呼ばれるように…

  そうしているうちに、この「お地蔵さま」の「首」は取れてしまったのでしょうか?PA200256.JPG 今では「首」がなく、頭があったであろう場所には穴が開いているだけです。
  それに角が削れてしまい、全体的に丸くなってます。そのせいで形が崩れ、立てては置けなくなったのでしょうか、寝かせて置いてあるのです。
  このような格好で置かれるようになったのはいつからなのでしょうか。体の正面に組まれた手も、近づかなければ掘られているのがよく見えない程で、はたから見れば、ただ石が積み上げられているようにしか見えないかもしれません…





  「お地蔵さま」を担いでは投げ捨てるなど、とても罰当たりなことに思えます。
  昔そう思った人が、この「お地蔵さま」を戻してあげたそうですが、それが逆に「お地蔵様」の気にふれ、「せっかく若者たちと楽しく遊んでいたのに、余計なことをした!」と怒ったと言います。
  だから、僕も記念に持ってみようかと思いましたが、何か怒りをかうのは嫌なのでやめました…





  この「お地蔵さま」に限らず、「遠野」のいろんなところにある像には、こういった若者や子供と遊んでいるところを咎(とが)めると、逆に祟(たた)られてしまうという話がいくつもあります。

  観音像を、坂で投げて転がしたり、ソリにして遊んでいた子供を叱った大人が、その晩から病んでしまったとか、木の仏像を沼に浮かべて、船にして遊んでいたのを叱ったら逆に祟られたとか、木像で雪をソリすべりしていた子供を叱った老人が大熱にかかるなど、神さまを粗末に乱暴に扱っている子供たちを注意したのに、とんでもない目に会っています。

  一見、子供たちが「神さま」を粗末にあつかっているように見えても、「神さま」本人からすれば「楽しく遊んでいるところ」だということです。PA200259.JPGもし遠野でこのような風景を見かけても、決して「神さま」の邪魔はしてはいけません。

  さらに、遠野ではこういった地蔵だけではなく、山の神などの遊びを邪魔した話なども残ってますが、必ず祟られてしまいます。





  「さすらい地蔵」が置かれている「白幡神社」。小さなお堂に幾つかの石碑が置かれているだけの小さな神社です。しかし、秋にはこのお地蔵さまに影を掛けるもみじの葉が、とても綺麗な紅葉を見せます。
  もともとは、「中河原観音」という名で、近くの一日市町にあったという。



PB050028.JPG  この左の画像。これまでの画像を見た後だと、「あれっ!?」と思うかもしれません。
  初めてこの「さすらい地蔵」を見てから数ヵ月後に遠野を訪れた時、前を通ったのでこのお地蔵さまに目をやると、なんと立てられていました。
  足をしっかりとセメントで固定されてしまってます。これではもうさすらう事が出来ませんね… いいのでしょうか…





  1847年冬。早瀬川原に大集結したという領民1万2千人の一揆は、このあたりに陣取ったという場所でもあるようです。





  僕がこの「さすらい地蔵」をじっくり見てるとき、まちの人に「この地蔵がどうかしたのですか?」と訪ねられました。
  一見、小さな神社と朽ち果てたお地蔵さま。なんとも思わない人がみれば本当になんてことないこの場所。このような逸話を思い浮かべながら見ればこそ、おもしろいものにみえるのでしょうか。
  僕は、ここも気に入っている場所のひとつなので、この前を通ると必ずこちらへ目をやります。時には境内に足を踏み入れ、前にも呼んだ説明書きをまた読みながら、この狭い神社敷地内での独特な雰囲気を楽しんだりしています。

  ここへに足を踏み入れる人は今も少ないでしょうが、ひっそりとこの「さすらい地蔵」は「白幡神社」の片隅に置かれています。



  

posted by とぽ at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 【石碑・石 めぐり】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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